…幾星 霜が過ぎ 去った今 日までに 物故なさ れた何人 かの元戦 友の「霊 」に心
からの黙 祷を捧げ ずにはい られなか った…。 昭和の末 期に至る まで…千 変万化
の人生に 熟練した 社会人だ からこそ 、時世の 浮沈をも のともせ ずに七転 び八起
きの一生 を全うし たのだろ うが、私 のように …お座な りの苦労 しか知ら ぬ者で
も…こう した平和 な現代に 「命賜わ りて」暮 らせるの は贅沢で …有り難 いこと
だと想っ ている… 。…音も なく…、 静かに老 いを迎え て…遠い 過去の幻 影を今
の世に重 ね合わせ …二度と は帰らざ る「時間 」の余韻 を確かめ るように …残り
少ないで あろう我 が息吹を 大切にし たい…。 現在…こ うして晩 年となっ た私を
支えてく れる親族 や、あの 極貧暮ら し時代か ら手を携 (たずさ )えて来 た愛妻
も…幸い 我が頑迷 を…よく 理解して くれた… 。私を取 り巻く大 勢の方々 や…、
ましてや …生き残 っている 元戦友達 …、全て の人々が 前後左右 に交錯し て、輪
をつくり 、渦を巻 いて…こ の「生存 」に華や かな華を 添えてく れた…。 かつて
…。世を 嘆き、不 運を恨ん だ…この 私が、こ うした多 彩な知遇 を得るよ うにな
った歓び も…「天 」からの 授かり物 と思い、 丁重に押 し頂き… 、暖かい 感触を
味わって いる毎日 である… 。…埼玉 県、嵐山 町の川島 に「一家 」を構え てから
早くも6 年の歳月 が経過し た…。… 波瀾万丈 で飽きる ことがな かった「 昭和の
御代(み よ)」は …、千秋 楽の緞帳 が下ろさ れて…、 「平成元 年」と… 年号を
改めた… 。…新し い幕開き の時代を 創造する 正月は… 、国中の 人々が「 喪」に
覆われて いたのだ が…、忽 ちにして …半歳の 月日が… 水のよう に流れ去 った…
。…遠い 昔を瞼に 描きつつ …、私は …静かに 瞑想して いる…。         
…荒張千 五百…「 齢(よわ い)」… 73歳、 伴に生き た妻「よ し」は6 9歳、
そして只 今…孫… 6人…。 「完」{ 第九章へ |目次へ }